6月のチャイニーズカップで実現した表題の対戦。『アジア競技大会前哨戦』と銘打った。本番と同一会場、しかもナショナルチーム同士となるとオーヴァーでもなんでもない。台湾はこの大会以前にアジア競技大会の代表選考会のスケジュールをこなしており、チャイニーズにはその勝者をつれてきている。日本は代表候補をしぼりこんでいる真っ最中のことで、チャイニーズに日本ナショナルチームとしてエントリーした篠原・小林(5月予選優勝で自力出場を決めている)をのぞく8名(中堀、高川、鹿島、中本、菅野、稲積、玉川、柴田)が最終の候補となっていた。
意外なことにというか残念なことに四大国際大会(世界選手権 アジア五輪、東アジア五輪、アジア選手権)以外でナショナルチーム同士の団体戦が戦われることは滅多にない。それほど興味深い稀少な対戦だったわけだ。韓国も台湾同様にこの時には予選の日程をすべてこなしており代表も決定済みだったが、その代表は誰一人として広州に姿を見せなかった。なにやら意味ありげではあるが、韓国からは慣例的にソウル代表と学生代表を派遣しており、深読みは意味がないとおもわなくもない。(韓国予選の画像と報告は間もなくup)。ソウル代表といっても代表経験者2人、うち一人はアジアチャンピオンのヤンチンハンであることはすでにお伝えしたとおりだ。さらにいうとこのソウルチーム、先日おこなわれた韓国最大のトーナメントである韓国国体で団体戦そしてダブルスに優勝している。ダブルス優勝ペアはこのチャイニーズカップダブルス準優勝のナンテクホ・ヤンチンハン。ナンテクホは2006アジア五輪ドーハ大会代表。
話がどんどんそれていく。日本vs.台湾に話をもどす。画面からは伝わりにくいが実は猛烈な暑さのなかでの対戦である。おそらくコート上は50度近いのではないか。しかもまるでお湯につかっているような湿度の高さがくわわる。ただすわっているだけで熱中症になる。実際にサポートスタッフのK氏は熱中症でダウン。
そんな過酷な条件の中での対戦とは思えないハイレベルのゲーム。ミスさえもレベルが高いという、さすがといわせる一戦。お互い手のうちをみせない、というかみせられないとでもいう、複雑な味わいも一興だ。中堀、楊勝發、李佳鴻という3人の巨匠がそろえばあたりまえといえばあたりまえ、しかもそんな巨人たちのなかで中本がまずまず自分の持ち味を発揮していて楽しくなる。やや李にパワーに圧倒されがちなのはしかたない。得難い経験を積んだはずである。
楊勝發・李佳鴻はダブルフォワードスタイルにはほとんどならずゆったりとゲームをすすめている。この第6ゲームではようやくカットを本格的に使いだすが、李のサーブ時の楊のポジショニングなど、ちょっと本番ではありえないもの。楊は序盤ややさえずミスがおおいが、この第6ゲームは強打で押し込んだかと思えば、今度は鋭い左右のショートアングルと自由自在、エンジンがかかってきた。中堀はゲーム最初から好調、最近国内では滅多にみせないカットサーブも素晴らしい。日本選手では唯一人世界レベルに達しているカットに楊、李ともに対応に苦慮している様子がみてとれる。カットのリターンも台湾選手も賞賛する超一級。
大会前日、選手控え室となった室内コートで調整する日本チーム。この室内コートはアジア競技大会本番でも選手控え室となるようだ。