全日本、今年ぐらい荒れなかった大会はあまり記憶にない。昨年の皇后杯など今年の代表(アジア五輪)が一人もベスト8に残っていない(これほど極端なこともめずらしいが・・・)。ところが今年は女子は代表5人全員がベスト4に。男子は5人中4人がベスト4に残り、決勝は男女とも代表同士の対戦となった。こんなことは近年ちょっと記憶にない。(2000年の男子決勝では同年のアジア選手権代表同士だった中堀・高川と北本・斉藤が対戦しているが北本・斉藤はこれに勝つことで代表権を獲得しているのでちょっとケースが違うといえるだろう)。
国際大会といえばと全日本とニアミスともいえる近接した日程で開催されることが多く、なにかと物議をかもしたものだが、今年は一ヶ月近く間があり、そのこともプラスに作用したのかもしれない。国家代表として国内大会に臨むにあたっては相当のプレッシャーがあるはずであり、そんなかでの完全勝利は素晴らしいし、実際に頭抜けた力をみせてくれた。全日本だけ結果がでなかった篠原・小林はついにベスト8の(ペアとして)壁を突破し、一気に決勝まで勝ちすすんだ。中堀・高川との決勝は誰もが望んだ好カードであり、全日本の決勝の場ほどそれにふさわしいところはあるまい。その中堀・高川、岩本・山田戦の大苦戦(マッチ数本)以外は楽々決勝にでており、桁違いの実力をみせた。準決は破竹の勢いで勝ち進んできた学生ペア早川・向井(立命館)と対戦。早川・向井は典型的なダブルフォワードであり、ここまで圧勝、対戦相手はそれこそなす術もなくやぶれさっている。
一方中堀・高川は準々決勝までは雁行ベースのオーソドックスなスタイル。はたしてどうなるか、衆目をあつめたが、なんと中堀・高川自身が華麗なダブルフォワードに変身。久々にみせた彼らの本格的なダブルフォワードはおそろしく厳しくシャープ且つパワフルで早川・向井を秒殺した。決勝も同様。はからずも新旧ダブルフォワード対決となった男子だが、海外で修羅場をくぐってきた中堀・高川はやはりものが違うといわざるをえない。中堀のカット、高川のネットプレー、両者のリターン力etc…すべてがそう。ダブルフォワードは技術力がむき出しになるそれはそれは恐ろしい戦術なのである。それにしても今期の篠原・小林のかちっぷり、今大会での早川・向井の快進撃をみるにつけ、日本のテニスの脆弱さ、柔軟性のなさが気になる。まるで、『はじめてダブルフォワードみました。こんなの有りですか?』みたいなテニスはいかがなものか?ダブルフォワードをというか雁行陣以外のテニスをネガティブにみる風潮もまだ根強く、理解できなくもないが、負けていてはどうしようもあるまい。今回のあまりにあからさまな結果がどう日本を変えていくのか、あるいはそれでもかわらないのか、とても興味深い。
男子 4月からの今シーズン出る国内大会(関東、東日本、全日本社会人)すべてに優勝している篠原秀典・小林幸司(日体大桜友会・ミズノ)が中心。もっとも快進撃はここ数年毎度ともいえるが、今年は5月のアジア競技大会予選でも優勝しており、より完璧といえよう。
こ
のペアは今年で5年目にはいる。獲得した主要タイトルは全日本社会人が3度、東日本が4度、東京インドアが3度と他を圧しており、アジア競技大会予選優勝
とあわせると実に11タイトルとなる。しかし、だ。不思議なことに天皇杯での優勝は、ない。それどころがベスト8も(一度も)ない。実に不思議である。歴史的に天皇杯だけ勝てないというペアは彼らだけではない、枚挙にいとまがないとさえいえるが、ここまで極端な例はちょと珍しいのではないか?とにかく
実力は申し分ない。もっとも賜杯にちかい存在のかれらがどう戦うか注目である(上画像は4月のアジア競技大会予選会での篠原・小林。他を寄せ付けぬ圧勝
だった)。会場である大神子テニスセンターは2005年の全日本シングルスの開催地。まだ学生だった篠原秀典はそこで優勝し、東アジア五輪の代表に選抜さ
れ、世界への道がひらけた。いわば大神子生まれともいえるゲンのいいコートである。
昨年の優勝ペア中堀成生・高川経生(NTT西日本広島)。来月、中国広州で開催されるアジア競技大会(アジアオリンピック)に3大会連続(高川は4大
会連続)で出場を決めた日本の大エースである。天皇杯では過去5年間に3度、通算で8度の優勝を果たしている。これは史上最多。間違いなく日本ソフトテニ
ス史上最強であり、奇跡のような存在。中堀が'71年生まれ、高川が'72年生まれであり、彼らが第一線で戦っている事自体が、夢のようであ
り、彼らを見るためだけに徳島まではるばる足をのばす意味、価値があるだろう。彼らがもっともその力を見せるのは国際大会の場であり、それは当然だが、国内では
この天皇杯である。中堀・高川vs.篠原・小林という黄金カードは天皇杯では実現していない、今年こそみられるか?(画像は昨年の決勝より)
篠原・小林、中堀・高川の二組につづくというか、その両組に並ぶ実力を備えたのがインカレの覇者、鹿島・中本(早稲田)である。鹿島は2008本大会チャンピオン、中本は同大会2位。昨年は中堀・高川に重厚な試合を敗れてベスト4。中本は前記四人とともにアジア競技大会の日本代表でもある。代表がもし他の国際大会同様6人なら鹿島もえらばれていたであろう。この三組はそういう存在である。年齢的にベテラン、中堅、若手とみごとにわかれてますな。もちろんこの3組に以外にも優勝まであり得るペアはたくさんいるが、ペアとしての安定感、熟成度においてこの3組との差はやはりあるとおもう。そういえば篠原のところで書いた2005全日本シングルス。同大会ではまだ高校2年生だった鹿島がベスト4に入り話題となった。その彼が今年のインカレ3冠、もう大学4年生なのだ。ちなみにその2005年の天皇杯(厚木)では中堀・高川が6度目の優勝を果たしている(翌2006年も優勝)。
W.T.ガルウェイ著: 新インナーゲーム
必読書!!よまなきゃなにもはじまらない。 (★★★★★)
玉木 正之著: スポーツとは何か(講談社現代新書 1454)
ソフトテニスについては触れられてはいないが、ソフトテニスとはなんなのか、を考えるには欠かせない。 (★★★★)
ブラッド・ギルバート共著: 読めばテニスが強くなる
庭球書誌学参照 (★★★★)
日本ソフトテニス連盟編: ソフトテニスコーチ教本 新版
こちらは中、上級者向けと銘打ってある。連続写真はこちらも多数 (★★★)
日本ソフトテニス連盟編: ソフトテニス指導教本 新版
あらゆることを一通りカバーしている。連続写真も多数。地域スポーツ指導者養成テキスト。 (★★★)
榎並 紳吉著: 基礎からはじめるソフトテニス(012 sports)
元世界チャンピオンで現男子ナショナルチームの斉藤コーチがネットプレーの模範をしめしており、それだけでも価値がある。 (★★★)
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