チャイニーズカップ国際ソフトテニス2010

日本vs.台湾 --アジア競技大会プレヴュ--

6月のチャイニーズカップで実現した表題の対戦。『アジア競技大会前哨戦』と銘打った。本番と同一会場、しかもナショナルチーム同士となるとオーヴァーでもなんでもない。台湾はこの大会以前にアジア競技大会の代表選考会のスケジュールをこなしており、チャイニーズにはその勝者をつれてきている。日本は代表候補をしぼりこんでいる真っ最中のことで、チャイニーズに日本ナショナルチームとしてエントリーした篠原・小林(5月予選優勝で自力出場を決めている)をのぞく8名(中堀、高川、鹿島、中本、菅野、稲積、玉川、柴田)が最終の候補となっていた。

Imgp9256  意外なことにというか残念なことに四大国際大会(世界選手権 アジア五輪、東アジア五輪、アジア選手権)以外でナショナルチーム同士の団体戦が戦われることは滅多にない。それほど興味深い稀少な対戦だったわけだ。韓国も台湾同様にこの時には予選の日程をすべてこなしており代表も決定済みだったが、その代表は誰一人として広州に姿を見せなかった。なにやら意味ありげではあるが、韓国からは慣例的にソウル代表と学生代表を派遣しており、深読みは意味がないとおもわなくもない。(韓国予選の画像と報告は間もなくup)。ソウル代表といっても代表経験者2人、うち一人はアジアチャンピオンのヤンチンハンであることはすでにお伝えしたとおりだ。さらにいうとこのソウルチーム、先日おこなわれた韓国最大のトーナメントである韓国国体で団体戦そしてダブルスに優勝している。ダブルス優勝ペアはこのチャイニーズカップダブルス準優勝のナンテクホ・ヤンチンハン。ナンテクホは2006アジア五輪ドーハ大会代表。
Imgp9109話がどんどんそれていく。日本vs.台湾に話をもどす。画面からは伝わりにくいが実は猛烈な暑さのなかでの対戦である。おそらくコート上は50度近いのではないか。しかもまるでお湯につかっているような湿度の高さがくわわる。ただすわっているだけで熱中症になる。実際にサポートスタッフのK氏は熱中症でダウン。

そんな過酷な条件の中での対戦とは思えないハイレベルのゲーム。ミスさえもレベルが高いという、さすがといわせる一戦。お互い手のうちをみせない、というかみせられないとでもいう、複雑な味わいも一興だ。中堀、楊勝發、李佳鴻という3人の巨匠がそろえばあたりまえといえばあたりまえ、しかもそんな巨人たちのなかで中本がまずまず自分の持ち味を発揮していて楽しくなる。やや李にパワーに圧倒されがちなのはしかたない。得難い経験を積んだはずである。

Imgp9115 楊勝發・李佳鴻はダブルフォワードスタイルにはほとんどならずゆったりとゲームをすすめている。この第6ゲームではようやくカットを本格的に使いだすが、李のサーブ時の楊のポジショニングなど、ちょっと本番ではありえないもの。楊は序盤ややさえずミスがおおいが、この第6ゲームは強打で押し込んだかと思えば、今度は鋭い左右のショートアングルと自由自在、エンジンがかかってきた。中堀はゲーム最初から好調、最近国内では滅多にみせないカットサーブも素晴らしい。日本選手では唯一人世界レベルに達しているカットに楊、李ともに対応に苦慮している様子がみてとれる。カットのリターンも台湾選手も賞賛する超一級。Imgp9042

大会前日、選手控え室となった室内コートで調整する日本チーム。この室内コートはアジア競技大会本番でも選手控え室となるようだ。

男子団体戦 日本 vs.韓国 3   チャイニーズカップ2010

(〜ヤンチンハンの話の続き)ヤンを初めて意識してみたのは2007年の熊本インドア。Imgp4963 このときはチェチフン(史上最速の男!)とのペアでやってきた。予選リーグで一勝一敗、あまり記憶にない。 チェも盛りをすぎてテニスが大人しく(彼の全盛は90年代後半〜2002)、またこのときは台湾のヤン・リが全盛であったこともあり、余計目立たなかった。 韓国選手らしくよく訓練されていて、切れは良いが、スリートップ(ヨンドン、キョンハン、ヒースー)とくらべると、技術的な遜色があるように見え た(無論きわめて高度なレベルでの話)。ボレーグリップが厚過ぎて、フォアで面がつぶれる、つまりリーチがない、それは現在でも同じだが、それを驚異的なフットワークでカバーしている。いや ただ走りまくるだけでポイントできるわけがない、そこには読みと駆け引きが必要になる。ネットプレーではあまりつかわないがそれらを融合したことばである コートカヴァリングというべきか。彼のプレーをして大運動会とやや失笑気味に語られることもある、しかし彼はまぎれもなくアジア選手権のダブルスチャンピオンである。2008年のアジア選手権のメンツは充実していたし、単に篠原・小林、中堀・高川という日本を代表する選手に同時にやぶったいうことを考えても大変なことである。篠原・小林戦の電光石火、決勝の中堀・高川戦のドラマチックな激戦、これは球史にのこるような偉大なマッチであった。(右画像はNH2008でのチェ・ヤン。ベスト4。これがチェチフン最後の勇姿だったか?)

実際、現在みていて、もっとも魅力的な選手の一人。圧倒的な迫力とスピード、型破りな運動量、それを実現する身体能力、全く独自な境地を見いだしたのだ。ポイントすることへのおそるべき執着は優れたプレイヤーとしての基本条件であるはずだが、それをスポイルするような指導がされがちなどこかの国では生まれにくい個性といえる。

このゲーム(チャイニーズカップ2010の話だ)の大詰め、とうとうバケツ、いや風呂桶がひっくり返り、あっという間にコートは、水浸し。豪雨いや猛雨だ。全員ダッシュで室内コートに移動。

男子団体戦準決勝 日本vs.韓国 2 チャイニーズカップ2010

話 が前後する。男子準決勝開始時にはますます暗くなり、照明にも灯がはいる。雨は今にも落ちそうでスコール必至の状況、なんとかもってくれ、という希望すらもてないかんじ、いつでも機材をかかえて逃げられる準備だけは整えての観戦だ。ナイターといっても設備はやや貧弱でほの暗い。そんな中での男子準決勝同時進行、かたや韓国vs.日本、隣では日本vs.台湾、胸躍るカードである。

Imgp9122話をもどそう。先頁ででたパクキョンテと団体戦で組んだのがヤンチンハン。2008年のアジア選手権でイヒョンス(タルソン)とのペアで優勝したベテランネットプレイヤーだ。アジア選手権にはBチームとしての出場だった。このBチームというのはアジア選手権と世界選手権における開催国ワイルドカードのことで個人戦のみに出場できる。Bチームつまりワイルドカードから国際大会を勝ちきったというのは1998年世界選手権の謝・陳(台湾)とこのイ・ヤン(李・梁)以外に例がない。韓国男子の層が厚さを示しているといえよう。そのアジア選手権個人戦ダブルスにおける篠原・小林の初戦の相手が、イ・ヤンだった。ヤンが縦横に勝負しまくり圧倒。この試合、実は篠原・小林の(ペアとしての)国際大会デヴューだったのだが、結果0−4という苦い味の船出となった。今回の展開もそれと酷似。ヤンの圧倒的運動量は相変わらずというかアジアチャンピオンを奪取したことでそれは確信にみちたすごみを増している。実際、現在みていて、もっとも魅力的な選手の一人である。

男子団体戦準決勝 日本vs.韓国   チャイニーズカップ2010

Imgp9120 日本ナショナルチーム選抜A(篠原、小林、菅野、柴田、玉川) vs.韓国B。韓国は選抜チームではなく、ソウル市体育局(ソウル市庁)の単独チーム。韓国からは例年、ソウルのチームがやってくることが半ば慣例となっているようだ(昨年は学生チームのみ)。女子の農協もソウルである。余談になるが、数年前にはすでに現役引退していたユウヨンドンがソウルの選手と組み、サプライズ出場(ヨンドンは農協のコーチとして中国にきていた)し、花田・高川等を破って優勝したことがある。2006年のヒストリックリターン以前の話だ。

 ソウル市体育局は日本と縁が深く、全日本社会人に出場したこともあるし、昨年、岐阜で開催されたエキシビション大会(ドリームマッチ)にも招待されている。韓国ではどれくらいの(実力の)チームなんですか?と質問をうけたが、十数チームある韓国プロ球団のなかで中堅といったところか。ベスト8にははいっていると思う。日本の大会ではもうひとつ冴えないかんじだが、あれを実力と思ってもらっては困る。日本のサーフェースはあまりに特殊(砂入り人工芝や板張りインドア)だからだ。フェアなサーフェース(ここでのフェアとは、どこにでもあるというほど意味)でこそ、実力が計れるというもの。国際試合はクレーあるいはハードでみたいものである。
ソウルチームは最近メンバーがかなりいれかわった。あのチェチフンが引退、ユウ、ハンの移籍と、戦力ダウンかと思ったが、ナン(テグカソリック大学 ドーハアジア五輪代表)が新卒入団、パクキョンテが2年あまりの軍隊生活を終え復帰し、若手の台頭もあり、むしろ以前より充実してきた。

Imgp9118 トップはそのパクキョンテ・ヤンチンハン。キョンテは2006年のアジア五輪予選にヨンドンと組み、あわや優勝かというほどの活躍をした。スーパーライジンガーでおそろしく非凡ではあったがきわめて不安定、それをなんとかヨンドンがまとめ2位となり、ヨンドンだけがアジア競技大会出場となった。落選したキョンテは選手生活を中断し入隊、厳しい軍隊生活を経て、昨年復帰した。彼のテニスをみるのはその2006年以来のことだ。正直なところ2006年時には?だった。なにせパートナーはあのヨンドンだったし、彼の足を引っ張っているようにしかみえないのはしょうがない。久々にみたキョンテ、落ち着きがでて、右足でためてボール引きつける韓国のお家芸もさまになり、ぐっと安定感をました。ライジングでの早い攻めも健在であり、今後がうんと楽しみである。大物後衛の予感さえする。実際、篠原・柴田をあっというまにとばしてしまった。篠原はノーカット、雁行ベースで彼のベストフォームではない、にしてもである。ヤンチンハンについては次回ふれよう。

会場点描 天河網球学校    2010チャイニーズカップ

Main_2

会場は天河體育中心内にある天河網球学校のコート。もちろん11月のアジア競技大会本番でも使用される。12面のハードコート。そのうち8面には観客席がついている。照明もあるがやや貧弱。その他に4面の室内コートがあり、こちらにも観客席あり。Imgp9844 キャパは室内コートのほうがかなり大。コートサーフェースは室内外ともに最近全面改修されたばかりということで実に美しい。
気になる材質はよくあるデコターフではない、ようで、硬式の会場(別会場)で採用されたプレキシペイブなのか?(詳細不明)。

 全体として観戦スペースはやや手狭。現在建設中のセンターコート(右画像の観客席の後ろの建物)をうまく運用すれば、ある程度解決しそう。上位の試合では(観戦スペーズの十分な)室内コートを使うとの話もあり、やや情報が錯綜気味・・

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団体戦 Stage 2(決勝トーナメント準々決勝) チャイニーズカップ2010

ようやく準々決勝がはじまったが、かなり薄暗い。雷鳴もますます近づいてくる。Bil_2 ここ、天河體育中心、は都会地のど真ん中である。広州市は北京、上海につぐ中国第三の都市であり、人口は公称700万、実質1000万という超巨大都市。天河地区は近年になり開発されたところらしいが、いわゆるオフィス街で超高層ビルが乱立している。その真ん中にコートはある。そのビルの避雷針に落雷するさまはなかなか豪快で見物。豪快なだけならいいが、恐怖も当然ある。Coubil 自分に落ちてしまえばしゃれにならない。いや、おちるならまず○ンドンに落ちるだろう、なんてジョークをいいながら内心ヒヤヒヤであった。それにしても、会場は女子選手が半分しめるわけだが、誰もキャーなんていわないのは、さすが!?である。

 準々決勝、日本女子は3チームとも勝利しベスト4へ。男子日本連盟推薦チームは敗退(韓国)。

男子団体準々決勝Teamqfm
女子団体準々決勝Teamqfw

 

トラブル      チャイニーズカップ2010

Imgp0347_2[こちらも広州白雲国際空港にて。アジア競技大会のマスコットか。]

団体戦の参加国こそ少なかったが、その分力の差はわずかで熱戦が続き、Stage1の終了時は夕刻がせまりつつあった。しかもまずいことに午前中快晴だった空は雲に覆われ、遠くに雷鳴さえ響き、だんだん近づいてくる。昨日と同様にスコールは必至、時間との勝負となってきた。日本の雨とはちがって、いきなりバケツいや風呂桶をひっくり返したような豪雨がほとんど一瞬にしてやってくるので、私としても機材の管理に気が気じゃない。そんななか、とっくに決勝トーナメントがはじまってもいいはずなのに動きがない。Stage1の2位までがStage2進出ときいていたのだが、大会本部は全チームがStage2へ進むといっているらしい。だとすると、Stage2はノックアウト式のトーナメントスタイルだが、Stage1はその組み合わせのための順位戦ということになる。いやそれは話が違うと日本チーム。昨日の監督会議で確認したとのこと。ただ要項には大会本部の主張通りの記載がある。結局、全チームがStage2に進むことになった。なぜこのような行き違いが生じたのか詳細は不明。


 

 

女子団体 Stage 1    チャイニーズカップ2010

Teamwstage1a女子団体はモンゴルの棄権で3カ国の争い。韓国は農協中央会の単独チームだが、エースペアであるキムエーキョン・チュオクが不参加で、ややというかかなり寂しい顔ぶれ。台湾も男子同様予選ではのらずあえなく3敗。男子に好対戦が連続し、女子の予選リーグは残念ながらチラ見程度。10面ほどの同時進行なのでやむなし。それにしても暑かった。

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パクチナ(韓国)2006年の皇后杯準優勝の実力者 ジャンワンチー(台湾)。2006アジア競技大会シングルス金メダル、2008NHOPEN二冠。ハードコートでのうまさ強さは無類。
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佐々木・森原(日本) 﨏田・山下(日本)。日本女子は普段みられないペアリングで相手をかく乱?!

カウントダウン!!ASIAN GAMES2010

Imgp0349_2
広州白雲国際空港にあったアジア競技大会へのカウントダウン。アジアのオリンピックである第16回アジア競技大会(16th ASIAN GAMES)は11月12日に開幕する。

男子団体 Stage1  チャイニーズカップ2010

Imgp0335 (上画像は広州白雲国際空港で撮影いた巨大な看板)

とにかく暑い。これより暑かったのは2006年5月のアジア五輪台湾予選の取材しか記憶にない。やはり北回帰線の真下みたいなところだった(嘉義縣)。取材していて熱射病になったのはあのときくらい。それにくらべればやや楽かな、と思わないでもない。だいたい南国というのは日陰が無闇につくられているものだが、取材中はそう日陰ばかりにいるわけにもいかず、なにかと大変だ。だいたいどこもかしこも強烈に冷房が効いている台湾だがテニスコートにはそういう場所はほとんどない(あたりまえだ)。そもそも夏のしかも日中に屋外でスポーツするような環境ではないのだ。台湾ではゴルフが盛んだが日の出ともに開始し、日が本格的に昇りだすころにはおわるのだそうだ。台中公園でソフトテニスを楽しむシニアに人たちも同様に夜明けとともにスタートする。9時ぐらいにはみなあがりである。あとは夕刻からのナイターとなる。昼間、コートは無人。

どれくらい暑いのか、言葉にするのは難しいが、例えば台湾ではほぼ年中蚊が発生するが、二ヶ月ほど姿をみせないときがあるという。いつか?なんと真夏の7、8月なのである。あまりの暑さに蚊も退散してしまうのだ。これは台中在住の日本人から聞いた話(真偽のほどは不明)。1998年のアジア大会はバンコク、2006年のアジア競技大会はドーハで広州や台湾よりも遥か南だが、いずれも12月開催でむしろ涼しいぐらいだった。

Imgp9116_2  そんな台湾南部とほぼ同緯度のここ中国広州市、まあとにかくとんでもない暑さのなか団体戦のStage1がスタートした。総当たりリーグが男女それぞれ2つ。上位2チームが決勝トーナメントに進むことになっている。

男子GroupA JPN1(B)--[中堀、高川、鹿島、中本、稲積]はいきなり台湾と対戦。接戦ながら3番勝負の末、勝利。以後波にのり、韓国の本隊(ソウル市体育局単独チーム 代表経験者が2名、梁、南)といえる韓国Bにも快勝して一位で通過。JPN1(B)の基本オーダーは1.中堀・中本 2.稲積 3.鹿島・高川。速報でも書いたように台湾はノーカット、雁行ベースのサボタージュされたというか含みのあるスタイル。もちろん日本も同様で、そのへんの駆け引きはある意味おもしろい。別に皮肉ではない。

Dsc02795 男子GroupB GroupAに台湾、韓国本隊(B隊)がはいったのでこちらはやや軽い組となった。JPN1(A)--[篠原、小林、柴田、菅野、玉川]は順当に1失点で一位に。JPN2[森、長江、荒尾、原、森田、室谷]は韓国Aに破れ3位。韓国Aはハンギョン大学の単独チーム。韓国国内の上位ではあまりみかけない選手たちだが、意外に強かった。JPN1-Aのオーダーは1.篠原・柴田 2.菅野 3.玉川・小林

以下に男子Stage-1対戦表を

Teammensstage1Imgp0350
[この画像も空港にて、それとなく盛り上がっている]

 

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