団体戦 2011中山盃国際大会レポート
団体戦は本年からの新種目。基本はオーソドックスな3ダブルスによる3組点取り戦(2点先取)だが、オーダーがユニーク。トップが男子ダブルス、2番が女子ダブルス、3番がミックスダブルスというものだ。素晴らしいアイデアだと思う(硬式テニスに男シングルス/女シングルス/ミックスダブルスという団体戦の例がある)。3番のオーダーは各チームの任意。
エントリーは日本、インドネシア、モンゴル、中華台北A、中華台北B、台中市A、台中市Bの7チーム。二つのブロックにわかれて総当たりの予選ラウンドを行い、それぞれの上位2チームをだして決勝トーナメントを行うのは個人戦とおなじ。モンゴルの女子チームはこられなかったので台湾の学生選手がサポートにはいった。台中市A,Bは名前をみると地元チームのように思われるかもしれないが、Aは林鼎鈞、劉家綸、江婉埼と4人中3人が昨年の広州アジア競技大会代表。Bにはやはり林科均・葉佳霖がいて、実質台湾ナショナルチーム選抜といっていい編成である。
日本は予選Aブロックの一番。まず中華台北Aと対戦。同チームには楊勝發、鄭竹玲、張文馨と広州アジア競技大会代表3名がいて台湾勢では台中市Bとならんで最強と目されるチーム。とくに個人戦で対戦のなかった楊勝發との対戦が注目された。楊勝發は広州アジア競技大会やインドア大会でのダブルフォワードスタイルとはうってかわったベースラインプレーに終始、ストローカーヤンシェンファの魅力をみせてくれた。ペアは李佳鴻ではなく游程翔。まだ学生で全く未知の長身前衛。しかし台湾らしく良く訓練された端正な技術を持っていった。林田・巽とのゲームは素晴らしいストローク戦で幕開け。楊の超ド級のフォアハンド(この会場は打球音の反響が素晴らしい)が圧倒的な迫力。ただ久々の大会とあって集中力がいまひとつでゲームが雑。林田・巽が競り勝ち大金星。
同時進行だった女子も勝利し、まず一勝。つづく台中市B戦。林田・巽は個人戦で勝利した林・葉と再び対戦し、今回は返り討ちにあったものの、高橋・山下がしっかりささえて3番につなぐ。ここまで無敗の高橋・山下、抜群の安定感だ。いつも感心するのが、日本女子選手のゲームにおけるモチベーションの高さ。いつでもどのような試合でも全力で立ち向かえる(というようにみえる)のは素晴らしい。
日本のミックスはオーソドックスな男子前衛、女子後衛のペアリングで高橋・巽。台中市Bは許・葉。許は台湾体育学院4年の強打の後衛。やはり女子後衛、男子前衛の組み合わせだ。ここは葉が大車輪の動きをみせるが空回り。日本が勝利して、Aブロック全勝で決勝トーナメントへ。
予選リーグが終わろうかというころから、雨脚が再び強くなり、準決勝は雨中でのスタート、さすがのアンツーカーも水が浮き出し、フットワークがおぼつかない場面がでてくる。今回のメーンイベントともいえる団体戦。会場も一層盛り上がり・・・・となるはずだったが・・・・・
日没もせまりナイターに。気温も一層ひくく台湾にいるということが時々信じられなくなる。日本はそんななかで奮闘、林田・巽が1勝2敗と崩れをみせるなか、高橋・山下が全勝で支え(高橋・山下は大会を通じて7戦全勝、林田・巽は4勝3敗)、3番の高橋・巽が2連勝して決勝に進出を果たした。準決勝の台中市戦の3番勝負が始まる頃は雨も本降りといっていいほどになり、コートが使用続行不能となった。辛うじて水の浮いてない5番コートに移動しておこなれたが、ゲームが進むにつれてフットワークが困難なほどの状態になる。巽がコートに足をとられて転倒などというシーンもあったが日本は勝利をおさめた。が日没も迫り、雨脚は一層強く、決勝ができる状況ではなくなった。しかしとにかく(延期は不可である)順位をきめなければならない。抽選をおこなうことになった。その方法はなんとじゃんけん!!それも試合形式とまったくおなじ3ダブルスによる点取り戦!である。雨で冷えきった会場が熱気で燃え上がったのはいうまでもない。いままでクールにゲームしていた台湾チームはここにいたって燃えに燃え、それは日本チームもおなじ。ゲーム?は3番までもつれる。最後を決めたのは巽。台湾に来る前にある学連選手が『巽は勝負強い』といっていること耳にはさんだのだが、まさにその勝負強さが発揮された瞬間だった。