韓国vs.台湾。何度も書くようにアジア競技大会では2大会振り(八年振り)、四大国際大会ということでは4大会振り(5年振り)に実現した。STAGE-1(予選リーグ)最終戦、ここまで両国とも全勝であり、すでにstage-1突破は決定、つまり勝敗に関わらず翌日の準決勝に進出することは確定している。しかし、勝てば準決勝の相手は中国であり、今年の中国チームの力なら、決勝進出は確定といっていい(銀メダル確定だ)。負ければ日本と決勝進出を賭けて戦うことになる。つまり消化試合どころか準決勝に匹敵する大試合ということになる。ドーハでは日本vs.台湾という予選最後の大一番があった。日本は敗れ、韓国との準決勝にまわっている。 ↑は前日練習での韓国男子
この2国(韓国、台湾)、21世紀はいってから5回対戦しており台湾の3勝2敗。現在台湾が3連勝中(2003広島世界選手権、2004チェンマイアジア選手権、2005マカオ東アジア競技大会)、台湾のあげた3勝は何れもハードコート。3戦すべてが最終戦までもつれ、いずれもシングルスで韓国が一点獲得という点まで同じ展開、つまり台湾はダブルスで全勝して3連勝した(2003、2004、2005)。その6勝中5勝までがダブルフォワード、しかもダブルフォワードだった5人(のべ10人)のプレーヤーの内、いわゆる後衛として育った選手は王俊彦だけであとの4人(ファントゥンシン、リュウチャルン、リーチャーホン、イエチャリン)は本来はネットプレイヤーとして鍛えられてきた強者ばかりだった。つまりダブル前衛によるダブルフォワードだったのである。2004年リュウチャルン・リーチャーホン、2005年のイエチャリン・リーチャーホンである。無論、王俊彦もハードコートではまったく後衛の面影は残さず、生粋のダブルフォワード野郎としてふるまう。(誤解してほしくないのだが、そういう選手を選抜してチームをつくったわけではない。台湾は代表の全てをオープン予選で決定する。予選の結果だけが全てだ。今回もダブルス予選を2回、シングルス予選を一回おこない、その優勝者がそのまま代表となっている。毎回そうである。つまり予選を勝ち上がった選手がオールラウンダーだったということである。選手選考に関しては韓国も同様。両国ともに日本的な意味でのナショナルチームは存在しない)
韓国は2003の決勝でヨンドン、キョンハン、バンジュンを擁し、しかも個人戦で完勝(上位を独占)しながら、台湾にまさかの敗戦を喫した(団体戦決勝のみハードコートだった)。この団体戦の3番勝負でダブルフォワードが登場したのである(王・趙)。
韓国人にとってアジア五輪よりも大切な世界選手権でのまさかの敗戦。しかもだれがみても最強メンバーだった釜山(アジア五輪)、広島(世界選手権 個人戦のみ)での圧倒的な勝利のあとのこの一敗は衝撃であった、なにしろ台湾は若手の集団、ファントゥンシン以外は全員が20歳そこそこの新人だったのである。
韓国は翌年からの日本より一年早くダブルフォワードに取り組み、国際大会に臨む。2004アジア選手権ではキムジェボク・パクチャンソクがはやくも個人タイトルを獲得。これは本格的なダブルフォワードとしては世界初の個人タイトルといえ、本家台湾より先んじたことになるわけだ。1985世界選手権優勝の劉・頼もダブルフォワードだ、という意見は当然あるとおもうし、こころのなかではそれに同調したい。
しかし、団体戦ではほぼ勝利を掌中にしながら信じがたいミスジャッジで惜敗、このミスジャッジはまさに歴史的なミスジャッジといえ、これがなかったら今の男子テニス界は全く違う様相を呈しているのでは、とおもえるほど。この敗戦が響いたのか、翌年以降の韓国男子は大崩れ、マカオ(東アジア五輪)、ドーハ(アジア五輪)でいいところなく大敗した。ドーハでの監督はキムジェボク・パクチャンソクを育てたテグカソリック大の監督であり、彼の手腕、それにヨンドンの復活と胸おどるテニスを期待したが、テニスも無惨、結果も無惨であった。
以降2007、2008と舞台はクレーに移り、当然のようにそこは韓国の独壇場、男女合わせて二年間でのべ14の種目中12の金をかっさらう・・・・という経過がある。
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さてオーダ。
台湾 NO.1ヤン・リー NO.2クォ NO.リン・リュウ。今回このオーダで不動。
韓国 NO.1ぺ・キム NO.2 イヨハン NO.3イヨン・チヨンミン。シングルスはイヨハンで不動。ダブルスはここまで1番と3番を交互に入れ替えてきたが、このオーダが本命だろう。
トップ ヤン・リー vs.ペ・キム。いきなり胸躍る今大会の目玉ペア同士の対戦である。ヤン・リーとキムテジュンは2007アジア選手権でも対戦。キムテジュンのペアは韓国一の天才児イゾンウだった。その時は韓国ペアが5−2で勝っている。ヤン・リーにいいところは全然なかったように記憶している。
韓国のサービスからスタート。出足からヤン・リーの気迫が凄い。最初から久々にみる前のめりのヤンリーである。かたさはあるがやることがふっきれている。一方、韓国ペアはぺウオンソンががちがち、特に第一ゲームは手が縮んでテニスにならない。クィックネスもまるでない。一本目のショートボールの処理をミス、次はクロスロブを大きく放り出す。ボレーも二本浮かし、と、がたがた。キムテジュンはそんななか落ち着いてボールをさばき切れもよかったがどうにもならない。
チェンジサイドでペウオンソンが落ち着き、ラケットが振れだす。激しいゲームになり競り合いとなるが、ぐいぐいポジションをつめてくる台湾ペアに韓国ペアは終始退き気味でプレーせざるを得なくなり、防戦一方、その限りにおいてはうまいしいいプレーも多々有るが、自分たちのテニスではない。あくまでヤン・リーのペースでゲームは進む。
第二ゲームでペ・キムは2本あったゲームポイントもいかせず。リードしたヤンリーはだんだんに堅さがとれて、超攻撃的ななかにも融通無碍、と手がつけられない強さをみせはじめる。これほどいい状態のヤン・リーはドーハ以来である。3−0の台湾ペアリードから韓国ペアは1ゲームかえすのが精一杯だった。大きく先行したヤン・リーに勝てるペアなどたぶんこの世に(いやあの世にも)いないだろう。5−1でヤンリーの圧勝。
ただスコアほどの差はないというか、特にキムテジュンの手堅たく冷静なプレーは切れもよく、まずまず。ペウォンソンの立ち上がりがいくらなんでも悪すぎた。